久しぶりに、ベトナム人の就労ビザに関わる仕事をしている友人と飯に行った。
彼はいわゆる“送り出し”の立場で、日本の企業にベトナム人労働者を紹介している。
彼の話を聞いていて、「なぜ西成にベトナム人がこんなに増えたのか」という素朴な疑問が少し見えてきた気がした。
コロナが明けてから、西成の町並みは明らかに変わった。
外国人の数が増えている。その中でもベトナム人の存在感が際立っている。
これは感覚ではなく、実際に街を歩けば誰でもわかるレベルだ。
で、なぜか?
単純に「外国人が増えたから治安が悪くなった」みたいな話ではない。
背景には、いまの日本が抱える深刻な“人手不足”がある。
建設業、解体、配管、鉄筋、型枠、左官、電気、重機オペ……
いわゆる“現場”系の職種は、どれも日本人の若者が敬遠しがちで、応募すら来ないらしい。
「今はさ、若けりゃそれだけで事務でも営業でも仕事あるから。わざわざきつい現場に来る理由がないんだよ。」
—— 友人の言葉
企業も本音では日本人が欲しい。
でも来ないから、外国人に頼る。
それだけの話、なのかもしれない。
だけど実際の現場では、“続かない”という問題が常にある。
来日してしばらく働いた後、キツさに耐えきれず辞める人も多い。
辞めたら就労ビザは消える。でも帰国せずに残る人もいる。
すると、その抜けた穴を埋めるために、また新しい外国人が入ってくる。
この無限ループが繰り返されていくうちに、気づけば彼らはこの土地に“住み着いて”いた。
気づけば、西成区の人口の中に占める外国人の割合は、年々増していっている。
経緯がどうだったかを正確に辿ることは難しいけど、
結果的に今の西成は、どんどん「多国籍な町」になっている。
むかし、「なんでこんなに外国人が増えてんの?」と、違和感すら感じていた。
けれど今は、「誰も来ないなら、来てくれる人にやってもらうしかないよな・・・」と思うようになった。
そりゃもちろん、トラブルが起きないわけじゃない。
不法滞在、突然のバックレ、迷惑駐車、騒音トラブル……
現実として、そういう問題があるのも否定できない。
でもそれを全部ひとくくりにして、「だから外国人はダメだ」と言ってしまえば、
じゃあ代わりに誰がこの仕事やるの? という問いに、自分自身が答えられなくなる。
インフラに関わる仕事って、本来は国が責任持ってやるべきことなんじゃないか。
民間に丸投げして、コストだけ見て、
結果として“誰もやりたがらない仕事”になってしまったツケを、
いま、現場で働く外国人たちが黙って引き受けている。
そんなふうに思うようになった。
まあ、シャッター街になりそうなところにベトナム人が八百屋を出してたりして、
一部に活気が戻ってる場所もある。
僕もたまにその店で果物を買ったりするし、
悪いことばっかりじゃないな、とも思う。
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